つぼいひろきの住友グループ探訪
住友化学
SYNERGYCA共創ラウンジ

住友化学の本社移転に伴い、2021年に新オフィス内に誕生したのがSYNERGYCA(シナジカ)共創ラウンジだ。
産官学の様々な人が集まり、技術を基盤とした新しい価値を共創していく場である。

SYNERGYCAは新たな価値創造につながるアイデアを生み出すための交流の場で、
室内は最新のデジタル技術などを活用して活発な意見交換を促す仕掛けが施されている。

日本橋に移転した新本社

日本橋に移転した新本社は「INNOVATION REACTOR ~わくわくワークプレイス~」をテーマに、住友化学の若手社員が中心となりコンセプトやレイアウトを検討した。

いいにお〜い いい音〜♪ ここはどこ? いいにお〜い いい音〜♪ ここはどこ?

東京・日本橋に、業界や研究する分野が異なる人々が集い、熱いセッションが行われているラウンジがある。住友化学が東京本社内に開設した「SYNERGYCAシナジカ共創ラウンジ」(以下、SYNERGYCA)だ。SYNERGYCAとはシナジーと化学を組み合わせた造語で、「世界をえる話をしよう~Chemistry for innovation」をテーマに2021年12月にオープンした。

住友化学の本社移転を機にSYNERGYCAをつくった理由を、共創ラウンジダイレクターのクナップ・カルロスさんは次のように話す。「社会や事業の課題と住友化学の最新技術が化学反応を起こしたら、きっと新しい価値創造を起こせます。そのためのアイデアや気づきを生み出す共創の場としてSYNERGYCAは誕生しました」。社内のワークショップからスタートし、プロダクトデザイナーの柴田文江さんをデザイン監修に、コクヨのプロデュースで空間設計をはじめ、動画制作、デジタルコンテンツの企画・制作に、外部からも多くのデザイナーやクリエイターが参画した。「本社移転に伴うオフィス工事も、デジタルコンテンツづくりもすべてフラットに、社内外が協業して取り組みました。共創のツールをつくるための、大きな共創のプロジェクトだったのです」(クナップさん)

共創ラウンジは、真新しいビルの本社内にあるが、1歩中に入るとコンクリート打ちっ放しの床にむき出しの天井がラボのような趣だ。ほのかに香るのは住友化学のリキッドイオン®アトマイザーであるエアノート®。静かに流れるBGMは、約200音を使い、自動音楽生成器でつくったもの。常に新しい音楽を生成してラウンジ内に流している。来場者はこの空間に身を置くことで、五感が刺激され、凝り固まった頭は柔らかくオープンな状態へと変化していく。施設内は「集う」「体験する」「交わる」の3つのエリアで構成されている。「集う」では、カーテンで丸く仕切られた空間で車座になり、自己紹介を行ったり、雑談したりするなど、いわばアイスブレイクの場だ。

「体験する」は、最新のデジタル技術やVR(仮想現実)を使って住友化学グループを知る場。「プロジェクションで住友化学の歴史を伝えたり、VRで事業内容を紹介したり、WHO(世界保健機関)で推奨されているマラリア対策の蚊帳やケミカルリサイクルを実現したアクリル樹脂など、タッチパネルで製品やコア技術などを『体験』できるように工夫しています。共創するためのきっかけや可能性を広げる第一歩になることが『体験する』コーナーの主眼です」とクナップさん。

「交わる」では、社会課題や互いの関心を共有し、解決方法を共に探る。議題となるテーマはカーボンニュートラルやDX(デジタル・トランスフォーメーション)など、化学関連だけでなく多彩だそうだ。参加者も企業や大学、政府関係者など、幅広い業種や職業の人がいる。

アイデアや気づきを生み出す3つのエリア

集う、体験する、交わる、3つのステップで共創が生まれます 集う、体験する、交わる、3つのステップで共創が生まれます

1回のセッションへの参加者は6~10人のグループが多いが、20人程度でも対応可能で、レイアウトもフレキシブルに変更できる。プログラムは参加者が主体的に参加することを促し、活発な議論が生まれるために、どういう形がいいのかを考えて1つずつ設計している。

特徴的なのは、日本ではまだ新しいプロのファシリテーターとレコーダー(記録者)を加えたセッションが行えることだろう。ファシリテーターは、どんなアウトプットを狙っているのかを開催者と事前に打ち合わせた上で、フレームワークを構築する。当日は全員のアイデアや意見を引き出し、画面上にデジタル付箋で貼り出して議論を可視化する。アイデアの関係性を見つけ出しグルーピングをしながら、さらなる意見を引き出すことで、初めての交流でも短時間で質の高い議論が行われる。セッションが終わると同時に、画面上に整理された議論や記録はPDFとなり、参加者に渡される。オンライン参加者もリアル参加者もメモを取る必要がなく、議論だけに集中できる仕組みだ。参加者はブレインストーミングで思考が広がり、一様に充実した表情で帰路につく。

VRゴーグルをかぶり、ワールドツアーとして国内外にある住友化学の拠点を巡る
VRゴーグルをかぶり、ワールドツアーとして国内外にある住友化学の拠点を巡る。実際にその場に行かなければ体感できない工場の大きさや工場内の様子を体験できる。
ファシリテーターの起用やデジタルホワイトボードを用いた活発な議論を促す仕組み
ファシリテーターの起用やデジタルホワイトボードを用いて参加者のアイデアをデジタルの画面上に並べて議論を可視化するなど、活発な議論を促す仕組みが整えられている。

SYNERGYCAの利用は、住友化学グループの社員が予約すれば社外の人を招待して使うことができる。見学のみでも可能だ。昨年の利用者数は約2300人。今年は、すでに1カ月先の予約も取りづらいほどの人気を博し、占有率は80%を超えている。「デジタルやデザインは強力なツールですが、人と技術がこのSYNERGYCAの根幹。一緒に『集う』『体験する』を通じて住友化学への理解を深め、『交わる』で一緒に何ができるかを考える。イノベーションのハブとして機能していくことを目指しています」とクナップさん。

すでにSYNERGYCAで行われたセッションの7割が次の議論やアクションにつながっているそうだ。一般的な会議室とは異なる非日常の空間が、来訪者のアイデアとひらめきを喚起させる。そして最新のデジタル技術に触れ、議論が活性化することで、新たな化学反応が起きる。ここで生まれたアイデアが具体化され、新たな価値を創造していくことがSYNERGYCAの目指すゴールだ。

技術とイノベーションを体験する

「2.体験する」は、ショールームではなく住友化学の技術とイノベーションの意欲を伝える場 「2.体験する」は、ショールームではなく住友化学の技術とイノベーションの意欲を伝える場

人までわるSYNERGYCA

お客様のこのような体験がありました いい雰囲気だけど、緊張するね~ どうやって、こんなところで共創が生まれるの? お客様のこのような体験がありました いい雰囲気だけど、緊張するね~ どうやって、こんなところで共創が生まれるの?
しかし、「1.集う」「2.体験する」とステップを踏むごとにリラックスし、「3.交わる」では3時間もブレインストーミング! しかし、「1.集う」「2.体験する」とステップを踏むごとにリラックスし、「3.交わる」では3時間もブレインストーミング!
終わる頃には、まるで別人のようになっていたんですよ! よ〜し! みんなで新しい技術を開発しよう! うちの会社にもSYNERGYCAみたいな施設をつくろっかな〜 終わる頃には、まるで別人のようになっていたんですよ! よ〜し! みんなで新しい技術を開発しよう! うちの会社にもSYNERGYCAみたいな施設をつくろっかな〜
SYNERGYCAは人まで化えてしまうんですね! お客様 変わりすぎ! SYNERGYCAは人まで化えてしまうんですね! お客様 変わりすぎ!
※見た目は変わりません

編集スタッフの取材後記

SYNERGYCAの「体験する」エリアでは、人生初のVR体験。専用のゴーグルをつけて、創業の地・新居浜から住友化学グループの国内外7拠点を巡った。実際にその場にいるかのような迫力のある360度動画だが、約8分でVR酔いすることもなく臨場感を満喫。動画を通じて、社員の方でも滅多に見ることができないような、世界各地の多様な現場を見て回ることができた。

マンガルポ「住友グループ探訪」 ナンバー

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