事業においては何事も遠い将来を見据え、緻密に計画を立て、すぐに結果が出なくても次代・三代にわたって事業を開花させるよう努力を続けるという考え方。住友のリーダーは絶えず100年先を見て「現実は重んじるが、理想はその先にある」という考えを共通して持っている。住友グループではそれを「百年の計」と呼んでいる。
別子銅山の近代化を成し遂げた初代総理事・広瀬宰平は、「余は諸氏の為めに種実をまかん、諸氏はその花を見、実を食ふものというざるべからず」(自分が多くの人のために事業の種を播き、また多くの人々はその事業を引き継いで育てていかなくてはいけない)という言葉を残した。二代目総理事・伊庭貞剛が100年かけて推し進めた「大造林計画」や、三代目総理事・鈴木馬左也が総理事就任の際に語った、「自分は正義公道を踏んで、皆と国家百年の仕事をなす考えである」という言葉も、同じ理念に基づくものだ。
「企画の遠大性」の考え方が住友に根付いているのは、住友の事業が長期的・継続的な取り組みを要する銅山経営を根幹にしているからだ。現在、住友の事業は電気工業・機械工業、そして金融業など幅広く拡大しているが、これらはすべて、各時代のリーダーが「企画の遠大性」を念頭に事業を育て、押し広げた結果と言うことができる。