内容は、まず扉に「大鈞鼓銅」という題字(絵1、大坂の銅座勤務の経験のある、蜀山人大田南畝の筆)があり、本文は、一、坑道の入り口から入る、二、坑内で銅鉱石を採掘する、三、選鉱する、四、坑内の涌水を引き揚げる、五、焼窯で焙焼する、六、はく吹(絵3)、七、真吹(絵4)、八、間吹(絵2)、九、棹吹(絵5)、十、合吹、十一、南蛮吹(※3、絵7)、十二、灰吹(絵6)、十三、淘汰、十四、鉛吹までが彩色画で、余白に和文の説明がある。一から七は銅山の工程、八から十四は大坂の銅吹所の工程である。十四の次に、大坂の工程の道具類の絵があり、その次に、「鼓銅録」という題の漢文(返り点と送りがなつき)の説明書があり、「浪華 住友氏蔵版」とある。日本の江戸時代の鉱山技術書としては、美しさにおいても内容の水準の高さにおいても第一級の作品である。住友はかつて創業時に、蘇我理右衛門(1572年~1636年)の開発した南蛮吹を同業者に公開し、大坂の銅吹屋全体の技術水準を高めるのに貢献したが、ここでそれを和漢両様でわかりやすく解説する書物をつくり、広く配布したのである。