2023年度「文化財維持・修復事業助成(国内・海外)」1億507万円余、および「アジア諸国における日本関連研究助成」4,944万円余の助成を決定

1.2023年度 「文化財維持・修復事業助成(国内・海外)」

住友財団では、文化財を保存し次の世代に継承していくことは今の世代の責務であるとの認識のもと、設立以来30年以上に亘り国内外の文化財維持・修復事業助成を続けてまいりました。
今年度は、2023年10月~11月に助成対象を公募し、多数の応募(国内111件、海外35件)の中から、別紙のとおり助成先を決定いたしました。

1.国内

助成対象 45件、助成金総額 7,000万円
<財団設立以来の助成件数・金額(単純累計):1,004件・19億4,894万円>

一例:

江垂行政区(福島県南相馬市)
木造聖観音菩薩立像保存修理事業(鎌倉時代)
助成金額262万円

現在は無住の仏堂となっている江垂観音堂の本尊で、地元の行政区が管理している。作風等から鎌倉時代の造立と考えられており、当地の守仏として信仰されてきた。しかしながら、各矧ぎ寄せがはずれて不安定な状態になっていることに加え、過去の修復で砥の粉のようなものが広く塗られて像容が損なわれた状態にあることから、全面的な修理を行う。

一例:

岡山大学(岡山県岡山市)
楯築墳丘墓出土特殊器台修復事業(弥生時代)
助成金額180万円

「埴輪の起源」とされ注目を集める特殊器台の中でも、最古形式である「楯築式」標識資料である。昭和54年(1979)に岡山大学の調査により出土し復元作業が行われてから約50年が経過し、接着部分のひび割れが大きくなるなど修復箇所の劣化が著しい状況になっている。今回、出土時の破片の状態に一度解体したうえで全面的な復元修復を行う。

2.海外

助成対象 14件、助成金総額 3,507万円余
<財団設立以来の助成件数・金額(単純累計):395件・9億3,208万円余>

一例:

サンフランシスコ・アジア美術館(アメリカ合衆国)
「応永舞楽図巻」の修復
助成金額 25,000ドル

舞楽は、中国・朝鮮を起源とする、平安時代に成立した舞を伴う雅楽の一様式。「応永舞楽図巻」は、舞楽を踊る11名の演舞者が描かれた巻物で、室町時代に制作された舞楽図巻として現存する最古の模本である。全体に折れ、絵具の剥落、変色が認められて、早急な修復が必要な状況であり、京都の工房にて3年計画にて修復を行う予定である。

一例:

ゴッホ美術館(オランダ)
「浮世絵」の修復
助成金額 21,900ドル

対象は、ゴッホ兄弟が収集した日本の浮世絵約600点である。浮世絵は、19世紀後半の印象派の画家達に大きな影響を与えたが、特にゴッホに対して構図や色彩において大きなインスピレーションを与えたと云われている。現状、経年劣化が進んでいるため、長期の保存に向けた修復が必要であり、自館の修復師により2年計画で修復が行なわれる予定である。

2.2023年度 「アジア諸国における日本関連研究助成」

助成対象 69件、助成金総額 4,944万円余
<財団設立以来の累計助成件数・金額(単純累計):1,881件・14億2,715万円余>

アジア諸国と日本との相互理解を深めるため、主に東アジア、東南アジアの研究者による「日本関連研究」に助成を行ってまいりました。今年度は、2023年9月~10月に助成対象を公募し、応募のあった853件の中から、別紙の通り助成先を決定いたしました。

一例:

研究テーマ『江戸時代の漢学者の読書論と読書様相に関する研究』
中国 揚州大学 外国語学部 准教授
劉菲菲
助成金額 70万円
本研究は、江戸時代の漢学者の読書論を分析し、朱子学派、古学派、陽明学派の三派を対象として、古代中国の儒学者の読書思想からいかなる影響を受けたのかを明らかにしようとするもの。

一例:

研究テーマ『Sustainable Coastal Island Tourism』
インドネシア パジャジャラン大学 大学院 講師
Kevin Muhamad Lukman
助成金額 100万円
本研究は、インドネシアのジャカルタ沖合のTidung島と日本の石垣島を事例に、気候変動に対処し、地域の環境を維持しながら、いかに持続可能な観光開発を進めていくかを検討するもの。

一例:

研究テーマ『Influence of Ajanta Paintings on Buddhist Art in Japan』
インド デリー大学 社会科学部 教授
Ranjana Mukhopadhyaya
助成金額 60万円
本研究は、インドのアジャンタ絵画が日本の仏画に与えた影響を、野生司香雪という仏画家を通じて研究するという、インド人研究者でないと出来ない日本研究の典型的な案件。

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