住友と共創 ~ビジョンを描く~
SMAS(住友三井オートサービス)
自動車リース業界でシェアトップの住友三井オートサービス(以下、SMAS[エスマス])は2023年、業界他社に先駆けて「2050カーボンニュートラル」を宣言し、環境負荷低減を経営の柱に据えた。従来の自動車リースの枠組みを超えて、持続可能な社会を支える“モビリティプラットフォーマー”への変革を加速させている。
SMASは、日本におけるEV(電気自動車)市場黎明期の2009年にEV専門部隊を立ち上げた。以来、数々の経験を糧に蓄積してきた膨大な知見が、モビリティプラットフォーマーとしての揺るぎない基盤となっている。
事業の中核が「EVワンストップサービス」である。車両のリースだけではなく、車両選定、導入、運用、アフターフォローまでを、一気通貫で支援する体制だ。現在は基本的な導入支援が中心だが、将来を見据え、電力需要の平準化を図る「エネルギーマネジメント」などの高度な支援の準備も進めている。
一方、企業や自治体からすると、EVを導入する上で心理的なハードルがないわけではない。そのハードルを払拭するための共創プラットフォームが「SMAS e-PARK」である。2023年に開始したこの活動では、EV未体験層に「触れる・乗る」機会を全国規模で提供している。
当初はSMAS単独の試乗会としてスタートしたが、現在では自治体をはじめ自動車メーカー、充電器メーカーなどとの共創へと大きく発展してきた。活動の範囲は東京や大阪などの大都市圏に留まらず、北は北海道から南は沖縄まで全国各地に及ぶ。
高度なサービスを実現するためには、社員一人ひとりのリテラシー向上が不可欠である。そのため、「SMAS Green-Lab.」という教育・情報発信活動を展開している。具体的には、環境省認定制度「脱炭素アドバイザー」の資格取得を全社的に推進している。営業部門から着手した資格取得は他の部門にも広がり、2026年4月末時点で250人以上の有資格者が誕生した。
顧客向けには、セミナーやウェビナーを開催しているほか、月刊でニュースレター「SMAS Green-Lab.ニュース」(A4判両面2ページ)を発行し、最新のEV動向や導入事例を発信している。営業担当者が顧客と対話する際の重要なドアノックツールとして機能している。
こうした知見の積み上げがコンサルティング事業に結び付いている。その象徴が、顧客の環境計画に深く関わり伴走する「グリーンフリート・マネジメント」だ。車両の提供という「点」の支援ではなく、顧客企業の経営課題や拠点ごとの稼働実態を分析し、最適なCO2削減策を体系的に提案する「多面的」なアプローチである。
2025年2月には、車両起因のCO2比率が高い医薬品卸業者のアステム(大分県大分市)へのEV導入支援を発表するなど、業種特性に応じた具体的な解決策を提示してきた。顧客企業の脱炭素化という高い壁に対し、SMASは環境計画の策定段階から踏み込んでいく。
さらに一歩先を見据えて取り組んでいるのが、モビリティのサーキュラーエコノミーを具現化する“リユースEV”という循環型モデルである。リース満了を迎えたEVを整備して再利用することでバッテリー資源の価値を最大化する取り組みだ。
バッテリーの劣化度合いに応じて、1次利用(配送、営業などの長距離)から2次利用(公用車、地域内などの中距離)、3次利用(企業構内などの短距離)までのシーンを想定した用途を顧客に提案している。
2023年から大阪府能勢町と豊能町で始めた実証実験では、公用車としての有効性を確認した。2024年からは島根県奥出雲町、2025年からは富山市や鳥取市といった降雪地域での実用性検証も進めている。走行距離やバッテリー寿命に対する顧客の不安に対しては、実証データを用いて優位性を丁寧に説明している。
こうした事業を通じて叶えたい未来は、まさにサステナブルな社会にほかならない。具体的には、3つの“エコ”を実現することである。ずっと乗り続けることにより環境負荷を最小限に抑える“エコフレンドリー”、リユース品を使うことによりコストを抑える“エコノミカル”、さらに、国内で循環型社会を実現し中古車輸出を回避してレアメタルの海外流出防止などを図る“エコノミックセキュリティー(経済安全保障)”にも寄与すること。これらのエコを実現することがサステナブルな社会の実現につながるというわけだ。
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