住友が取り組む社会課題 ~未来への羅針盤~

住友林業×脱炭素

事業の礎である森林経営と木造建築、木の価値をさらに深める取り組みにより、
地球規模の課題解決に貢献

 脱炭素
地球温暖化の原因となる温室効果ガス(GHG)、とりわけ大きな影響をもたらす二酸化炭素(CO2)の排出を抑制し、GHGの実質的排出ゼロを目指すこと。カーボンニュートラルとも呼ばれる。日本政府は、パリ協定が掲げた世界の平均気温上昇抑制と今世紀後半のGHG排出実質ゼロという目標を達成するため、2030年までにGHG排出を2013年度比で26%削減する目標を設定。2020年10月には、2050年のカーボンニュートラルを目指すことを当時の菅義偉首相が宣言した。住友林業は、持続可能な資源である木を活用して建築物の木造化を進めるとともに、木の価値を高める研究開発も促進し、GHG排出削減に貢献している。

日本は国土面積の約7割を森林が占める、いわば森の国だ。しかし実態を見ると、その4割に及ぶ人工林の多くは十分な手入れがなされていない。

森林は「植え、育て、活用し、また植える」という循環可能な資源としての価値に加えて、二酸化炭素(CO2)の吸収・固定、生物多様性保全、水源涵養、土砂災害防止といった多面的機能を持っているが、現状のままではこうした機能の低下が懸念される。また、若い木は成熟した木に比べ多くのCO2を吸収するが、伐採が滞り森林が高齢化するとCO2の吸収量も落ちていく。森林を適切に維持していくには年々力を失ってきた林業の再生が必要であり、国としても2010年、「公共建築物等における木材の利用の促進に関する法律」を制定して木の積極活用を促している。
森林、木を事業の柱とする住友林業は、森林維持と木材利用のこうした課題に本業で応えるため、2011年、商業・教育・事務所といった非住宅分野の施設を木造化・木質化する“木化”の取り組みを開始し、多くの実績を積み上げている。

同社は持続可能な森林経営という上記の目的の背景に、脱炭素社会の実現に向けた問題意識を有している。NPOのWorld Green Building Council(WGBC)の資料によると、世界中で排出される温室効果ガス(GHG)の総量中、建設部門が占める割合は38%に上る。同社は幅広いバリューチェーンで事業を展開しており、中でも川下にあたる建設部門のGHG排出については強い危機感を抱いている。

建設部門が出すGHGのうち、7割はエアコンなど居住時に排出されるオペレーショナルカーボンと呼ばれるもので、残りの3割がエンボディードカーボン、すなわち原材料の調達から加工、輸送、建築、解体というライフサイクルから発生するものといわれる。今後、再生可能エネルギー利用がさらに進めばオペレーショナルカーボンの排出は減っていくが、反対にエンボディードカーボンの比重は高まってしまう。そこで同社は、エンボディードカーボン削減に貢献する建築物の木化に力を入れているわけだ。

そもそもなぜ建築物の木化がGHG排出削減に寄与するのか。まず木造は、鉄骨や鉄筋コンクリート造の建築物に比べて躯体部分の材料を製造する際のCO2排出が少なくなる。また、木は生長過程で大気中にあるCO2を吸収し、固定しているため、木材を建築資材として活用すればそれだけCO2排出を抑制できることになる。加えて、解体した際は木材をバイオマス発電の燃料として使えるので、化石燃料の削減につながり、脱炭素に向けて効果的なインパクトを与えられる。

同社の木化事業において、近年、注目の建物が次々と実現している。2021年3月、東京都調布市の桐朋学園大学仙川キャンパスで、木造3階建ての音楽ホール「桐朋学園宗次ホール」が竣工した。同ホールはCLT(直交集成板)を構造材とする初めての音楽ホールで、音響効果を考慮したうえ、木質感あふれる内外観のデザインが特徴となっている。躯体部分のCO2排出量は同社の試算によると、鉄骨造より21%、鉄筋コンクリート造より28%削減でき、かつ約930m3の木材を使っているため約746トンの炭素を固定(CO2ベース)。居住時だけでなく、製造から解体までのトータルでエンボディードカーボンを削減する。

桐朋学園宗次ホールの内観。フルオーケストラが演奏できる広い舞台と215席を持つホールに、レッスン室や教室を併設する。スギとヒノキのハイブリッドCLT折板面をそのまま壁と天井に使用し、構造・防火・音響と木質感を両立。木の価値をアピールしている点で国土交通省の「サステナブル建築物等先導モデル事業」にも選ばれた。

また翌4月には、東京都千代田区の上智大学キャンパスで国産材を用いた木造3階建て・耐火構造の「上智大学 15号館」が着工となった。竣工は2022年4月の予定で、桐朋学園のホールと同じくエンボディードカーボンの排出削減に貢献する。

上智大学 15号館は、住友林業が持つ優れた耐震技術と耐火木質部材を採用。躯体部分のエンボディードカーボンを鉄骨・鉄筋コンクリート造建築と比べて削減でき、使用木材の炭素固定量はCO2約88トンに相当する。“街を森にかえる”コンセプトで脱炭素社会の実現に貢献する。

一方で住友林業は、2020年9月に東京大学と産学協創協定を締結し、「木や植物の新たな価値創造による再生循環型未来社会協創事業」を開始した。この事業では木の最先端科学研究によって木が持つ価値を高め、森林資源の循環利用を通じたサーキュラーバイオエコノミーシステム(循環型共生経済)の構築を大目標としている。森林環境の保全に始まり、高性能建材の開発によって森林資源を都市にできるだけ長期間貯蔵させ、さらに森林資源の活用領域を広げるための用途開発、法制度・評価基準などについて議論を行っている。
同社はこれまでも社内で研究開発を続けてきたが、単独ではなかなか得られなかった最新の知見を獲得し、かつ研究開発の加速を実感しているという。加えて、今後発表する新中期経営計画における脱炭素社会実現に向けたビジョンや具体的取り組みに関し、方向性の整理にもつながっているとのことだ。

住友林業・東京大学 産学協創協定 「木や植物の新たな価値創造による再生循環型未来社会協創事業」 “木の科学”を軸に木材利用産業(林産業)におけるイノベーション創出を推進

この取り組みにおいては、自然資本である森林の価値の見える化にハードルを感じているという。GHG削減に向けた森林の機能としては「除去」と「排出抑制」の2つの方法がある。木が生長の過程でCO2を吸収・固定する機能は前者に、木造建築の普及や木質資源の活用促進は後者に該当するが、とりわけ前者は定量化・数値化が難しい。しかしながらそれを実現していかなければ社会への浸透と課題解決は促進できないため、今後、東京大学とともに取り組みを加速していく考えだ。

このほか同社では、インドネシアの西カリマンタン州の泥炭地で植林事業を行っているが、2021年6月、株式会社IHIと「熱帯泥炭地コンサルティング」、「質の高い炭素クレジット」の事業化に向けて提携した。また福岡県苅田町では2021年7月に国内最大級の木質バイオマス発電所を開所し、再生可能エネルギーでの活用も進めている。冒頭で記したように、森林、木には多面的な機能がある。住友林業はこの機能を活かし、脱炭素社会実現に向けた課題解決に取り組むため、本業のビジネスで貢献していく。

住友林業がインドネシアで管理する熱帯泥炭地の保護区。同社はインドネシアの泥炭地で植林事業を行っている。同植林地は森林伐採や焼き畑により荒廃が進んだ土地で、貴重な生態系を持つ泥炭地を含む。泥炭地は炭素蓄積や水循環に重要な役割を果たすと考えられ、同社は乾期でも地下水位を安定管理する世界に類を見ないモデルを確立して持続可能な森林経営に取り組んでいる。
住友林業
https://sfc.jp/
住友林業の成り立ちは1691年別子銅山開坑による銅山備林経営に始まり、現在では約4万8千ヘクタール(国土面積の約800分の1)の社有林を経営・管理しています。この森林事業を礎に木材建材事業、住宅関連事業、不動産流通・開発、緑化事業、中大規模建築物の木造化・木質化を推進する木化(もっか)事業、介護事業、バイオマス発電事業に至るまで、木と人々の生活に関する様々なビジネスを国内外で展開しています。これからも「木」の持つ可能性を追究し、持続可能で豊かな社会の実現に貢献してまいります。

各社が取り組む社会課題

脱炭素 パネルイメージ

脱炭素

地球温暖化の原因となる温室効果ガスの実質排出量ゼロを目指す、脱炭素社会の実現に向けた取り組みを紹介します。

サプライチェーン パネルイメージ

サプライチェーン

サプライチェーンのグローバル化や複雑化に伴い、企業にはサプライチェーン上で発生する課題への適切な対応が求められています。

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新しい働き方

新型コロナウイルスの感染拡大により多くの企業が従来型の働き方を見直したことで、働き方改革が加速しています。

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健康

新型コロナウイルスの感染拡大により、企業にとって従業員の健康への配慮はよりいっそう重要なテーマとなっています。

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気候変動

地球温暖化の進行はビジネス上の深刻なリスクを引き起こす可能性があります。そのため、企業には中長期的視点での戦略策定と具体的な対策が求められています。

モビリティの電動化 パネルイメージ

モビリティの電動化

環境負荷軽減への対応や社会的ニーズの高まりとともに、モビリティの原動力がガソリンから電気へと置き換わりつつあります。

コミュニティ パネルイメージ

コミュニティ

人と人のつながりであるコミュニティを再生・再構築することで社会課題解決に向き合う動きが活発になっています。

貧困 パネルイメージ

貧困

子どもの貧困問題への対応が喫緊の課題になるなど、現代の日本においても貧困は深刻な社会課題の一つとなっています。

次世代の育成 パネルイメージ

次世代の育成

日本では少子高齢化の進展に伴う労働力人口の減少により、次世代を担う人材の育成が急務となっています。

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