メッセージ「住友最前線」

様々な領域の最前線でプロジェクトを率いる住友グループ各社社員の、
未来にかける熱い想いを紹介します。

住友ゴム工業
最先端の制振ダンパーで
熊本城の再建を支える

──── 住友ゴム工業 制振ビジネスチームリーダー
松本達治さん

被災企業だからこそ
地震に強い未来を目指して

揺れを吸収する装置である、制振ダンパー。住友ゴムは1990年代の橋梁用制振ダンパーを皮切りに開発を進め、2012年、最先端の高減衰ゴムを使った住宅用制振ダンパー搭載ユニット「MIRAIE(ミライエ)」を発表した。

このダンパーの特長は、揺れを95%吸収する高い制振性能と、90年もの長期にわたりメンテナンス不要、かつコンパクトなこと。これらにより低価格化と高汎用性も実現している。

「当社は阪神・淡路大震災と東日本大震災を経験した被災企業として、建物の耐震の必要性を痛感しています。制振ダンパーを住宅の標準仕様にしたい。そこで普及しやすさを追求しました」と、松本達治さんが思いを話す。

熊本城天守閣に採用された制振ダンパー(写真下)。専用の100t試験機(写真上)で性能試験を行う。

開発には7年をかけた。普及のために、頻回に公開実験を行うほか、地域の工務店に必要性を説いて回った。

そんな中、2016年の熊本地震が起こった。被災地で、「MIRAIE」を搭載していた家屋は、震度7の揺れにびくともしなかった。性能の確かさに、熊本城の復旧整備を担当する大林組が注目し、「MIRAIE」の制振ダンパー技術が天守閣に採用されることが決まった。多くの観光客が集まる名所への導入は、長寿命であることや、小型であることも絶対要件。厳しい条件をクリアすると評価されての打診だった。「当社の技術を認めていただき、手応えを感じています」と松本さんが笑顔を見せる。

愛媛県新居浜市に移築した住友家ゆかりの建築物、「日暮別邸」への導入も決定している。同社の技術に注がれる視線は熱い。

SUMITOMO QUARTERLY NO.154より転載

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