別子や新居浜市に残る産業遺産は、日本近代史を具体的に追体験できる貴重な場である。
愛媛県の別子山村や新居浜市には、たくさんの別子銅山関連の産業遺産が残っている。これらは、わが国の産業革命が果たした役割を雄弁に物語るモニュメントである。産業遺産は、英語で「インダストリアルヘリテッジ」(Industrial Heritage)と呼ばれ、イギリスをはじめとする欧米諸国では、自分の国の成り立ちや発展を追体験するモニュメントとして大切に保存・活用されている。わが国でもようやく十数年前から産業遺産の調査・研究が始まったが、わずか100年あまりで近代化を達成したわが国の産業遺産は、世界史的にも注目される。
文・末岡照啓 Sueoka Teruaki
住友史料館主席研究員。新居浜市広瀬歴史記念館名誉館長。1955年長崎県生まれ。78年國學院大學文学部史学科卒業。同年より住友史料館に勤務。主席研究員として現在にいたる。97年より新居浜市広瀬歴史記念館名誉館長を兼務する。